挿入歌というよりオリジナル曲


[映研の話][映研資料室]

 当時、大学一年生だった私がどうした訳で監督に申し出たのかは忘れましたが、私が作
詩、高校時代の友人が作曲したのが、この歌です。

 「走馬燈」という映画の中で、主人公が新人歌手オーディションを受けるシーンがありま
す。そこで使われました。画像処理的にはストップモーションに歌がかぶるというものでした
が、当時の8ミリ映画としては、スチール写真を複写するという形で処理するのが一般的だ
ったので、あまり見栄えのするシーンには仕上がってはいません。その責任はスチールカメ
ラマンでもあった私のせいであったと反省しています。

 また、本編の中でこの歌は短縮版で流されたのですが、ここでは当然ながら完全版で、
歌詞をご紹介します。ちなみにカットされていた部分は青字でご紹介しましょう。

「TRUTH」  作詩 酔聖李白 作曲 冬星

本当にいくら望んでも絶対にかなわないけれど

それでも望んでいたい

せめてせめて今の瞬間だけは過ぎ去って欲しくないんだ

思い出なんかにしたくはないんだ

今の瞬間だけは

今の儘でいたいんだ

            somato1.jpg 

時間よ地球よ太陽よ 

あぁ自転の止まった時

人間たちの馬鹿げた一生も終え

後には何も残らないんだろう

後には宇宙の限りない闇だけが続いて

何も残らないんだろう

貴女の笑顔も僕の泣き顔も

凍りつくような寒さの中で

暗い暗い闇が続いていくんだ

貴女の笑顔も僕の泣き顔も

凍りつくような寒さの中で

暗い暗い闇が続いていくんだ

 映研のオリジナルソングというと、前身である映画倶楽部映画製作部の時代の作品であ
る「セピアカラーに揺れる男のバラード」にある「薔薇の蕾のテーマ」というインストルメンタ
ルや、映研第一作の「ウルトラセブンJr.」の挿入歌などが上げられます。「ウルトラセブンJ
r.」の挿入歌などはカレッジフォーク調の伸びやかな青春歌謡と言った趣でした。

 オリジナルに滅法こだわったのは、全編オリジナルの劇判を用意した「映研グラフティ 多
摩川節考」でしょう。とはいえ、トップタイトルとエンドタイトルだけはお定まりの流用曲でし
た。というより、「映研グラフティ 多摩川節考」というのはラストに坂本龍一の「戦場のメリー
クリスマス」が流れないと完結しない映画でしたから。ですが、それ以外の劇判はギター演
奏によるものが「翔んだ三角」の松枝博監督のオリジナル、琴の演奏は駒大吹奏楽部の瀬
戸山千尋さんによるオリジナル曲でした。