水上一夫は病床で死ぬ前に蕎麦が食べたいと呟くカオルのために蕎麦を探す。しかし、日本での蕎麦の製造、所持、食事は法律で禁止しされていた。「非蕎麦三原則」に基づく「蕎麦廃止令」のために蕎麦は手に入らない。用賀、駒沢、二子玉川、鎌倉小町通り、弦巻。「駄目だよ、カオル。蕎麦なんかもう日本にないんだよ。」「へへっお兄さん。蕎麦の探しものかい。おいしい蕎麦があるんだけどね。」「えっ、蕎麦があるのかい。」「蛇の道は蛇ってね。」危険な勧誘に乗り、闇蕎麦屋へ潜入。しかし、苦労して手に入れた蕎麦は、無情にも蕎麦Gメンの取り締まりにあい、没収されてしまった。一夫は東京を離れ、信州に向かう。さらに名古屋。岐阜。飛騨高山。すべては徒労に終わった。疲れ切った一夫が出会ったのは、海外蕎麦食いツアーに出かけるという脳天気な親友、友田。「海外じゃあ、蕎麦食い放題だもんな。」友田が自慢気に差し出したパスポートには菊の紋章が…。「このマークなんだ。」「えっ知らねぇのかよ。天皇陛下の家紋だぜぇ。」「ふーん。そんなマークつけて、お前、天皇のなんなんだ。」友田を見送り、カオルの元へ戻った一夫。落胆している一夫の顔を見て、カオルがため息をつく。

 カオル「蕎麦。見つからなかったのね。」

 一夫「こうなったら、あのお方におすがりしょう。」

 かくして敢行された駒大映研始まって以来、最も危険なロケーション。

 長谷川和彦監督作品「太陽を盗んだ男」の向こうを張っての「皇居坂下門 突撃ロケ」です。

1982年9月26日。小雨舞う曇天。我々は皇居前広場に集合し、ロケを開始しました。

               

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